車屋寅次郎ものがたり

最後のオーナー

2009.10.15

社長ブログ

 

ここはとあるお宅のガレージ。
車は平成2年式ロードスターVスペシャル
なんと、石川県でこのモデルの第一号車らしい。

この車の所有者は石川県、いや、北陸の音楽界で名前を言って知らない人はいないのではないかと思うくらいの超有名人Hさん。

話はさかのぼり、一ヶ月前…
そのHさんから電話がかかってきて、今乗ってる車の車検を通すか相談があった。
色々考慮の結果、思い入れはあるが廃車にすることに決定。

さて、次の車をどうするか…
ちなみにHさんは『車というもんは、屋根が開かないと車じゃない』と思ってるらしい(かっこいい〜(≧ε≦))

そして色々悩んだあげく出した答はなんと『自分が昔乗っていた車を買い戻す』ことだった。

え?(・_・;)

『自分が昔乗っていたロードスターは名古屋にある。それにもう一度乗るからプロの意見を聞きたい』
『はあ?…』

とりあえず友人の息子さんが乗っているのを買い戻し、乗れるかどうか判断してほしいとのこと…
平成二年式ということは19年経過していることになり、全く同じ車に乗っている自分のロードスターよりさらに一年年上。
ただし自分のは塗装から足回りまでフルリペアに近いほど手が加えてあるが、この子は何もしてない。

だが陸送をかけ、名古屋から到着して驚いた。 車庫入れしていたせいか、肌はきれいで色あせとかはしてなく、皮シートはひび割れとかもない。 距離はまだ7万キロ。
乗ってみてさすがに足回りのゴム類の劣化やエンジンの古さは感じるが、ミッションのつながり具合やも軽やかでかなりの高いレベルでの合格点だろう。

そのことを話すと上機嫌で『いつ乗れるの?』と、楽しみにしておられました。

しかしこれで12年くらい車屋をしているが、自分の車を買い戻した人は初めて見た。
しかも、かなり高い確率で最後のオーナーになるであろう。 さしずめ別れた女の最後を看取る、もしくは余生を一緒に過ごす…みたいな感覚なんだろうか。f^_^;

車社会はかなり変化して燃費がいい快適で広い車は増えましたが、心躍る車は減りましたね。 そんなこと思うと、今じゃおばあちゃんですが昔の車のほうが魅力たっぷりだったのかもしれません。

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